HOME > 動物別症例集 > ハリネズミ

動物別症例集

ハリネズミ 絞扼

ハリネズミ絞扼

ハリネズミさんに限らず、
小動物全般に言えることですが、
足にひも状のものが絡んで締め付けられてしまうことがあります。

今回の症例では
犬の毛を疑うひも状のものがハリネズミさんの後ろ足に絡んでしまっていましたので、
絡んだ毛をピンセットとハサミで細かく外していきました。

酷く絡んでしまった場合、足先に血流が行かなくなってしまい
最悪、壊死してしまうこともあるため、早めに外してあげることが大事です。

絡まっている毛を外した後も、
血流が無かったり、自分で噛んでしまう場合には
足ごと切断しなければいけなくなることもあるので注意が必要です。

良く見る例では、
お家の隠れ家の布の切れ端や糸が絡まることが多いので、
もし使っている場合は糸のほつれが無いか?穴だらけになってないか?
確認してみると良いと思います。


ハリネズミの口腔内腫瘍

一般に動物は高齢になると、腫瘍の発生率が増加します。
ハリネズミでもそれは同様ですが特に口腔内腫瘍の発生が多いとされています。
ハリネズミの口腔内腫瘍は扁平上皮癌や悪性黒色腫、骨肉腫など悪性のものも多く報告されています。

口腔内腫瘍が大きくなると、採食困難、口腔出血、流涎や歯の脱落などの症状が見られます。

腫瘍の診断には細胞を顕微鏡で確認する検査(細胞診)が必要になるのですが、丸まってしまう子の場合は鎮静や麻酔をかけなければ検査ができないこともあります。
鎮静や麻酔には多少なりともリスクが伴われるので、本人の体調をよく見ながら実施することが重要です。

治療方法は腫瘍の種類にもよりますが、外科的な切除やレーザーメスでの蒸発、もしくは内科的な抗がん剤や消炎剤での治療が中心になることが多いです。

丸まって顔を隠してしまい症状を見逃しやすいハリネズミですが、変わった様子があれば早めにご相談いただき、早期発見につなげていきましょう。


皮膚糸状菌症

皮膚糸状菌症とは、皮膚糸状菌という真菌(カビ)による皮膚炎を指します。犬猫だけでなく、ウサギ、ハムスター、モルモット、チンチラ、フェレット、デグー、ハリネズミなど多くの動物に感染します。

子供や高齢、また何らかの病気により免疫力が低下している動物に主に認められます。
頭部や手足から全身に広がるケースが多いです。
また、円形の脱毛が認められることが多いですが、見た目で診断はできません。かゆみがある場合もない場合もあります。

診断は、抜毛検査による糸状菌の検出や、培養検査、ウッド灯と呼ばれる特殊なライトを用いた検査によって糸状菌を検出します。
検出されない場合でも、通常の治療に反応がない場合は試験的な治療が功を奏する場合もあります。

治療は、抗真菌薬の内服薬や軟膏、薬用シャンプーによる薬浴などがあります。治療は長期間にわたる可能性もあり、自己判断で中止しないことが重要です。

また、皮膚糸状菌症は人獣共通感染症(ズーノーシス)の一種であり、人にも感染します。人間ではリングワームと呼ばれる円形の赤い湿疹が特徴的です。
皮膚病の子がお家にいる方で、上記の症状が出た場合は特にこの病気を疑います。飼い主さんは、皮膚科の受診をお勧めします。


ハリネズミの子宮疾患

ハリネズミも、犬やウサギと同様に子宮の病気が多い動物です。

3-5歳のハリネズミで多くみられますが、2歳で発見されたケースもあります。
血尿ということで検査をしたところ、実は子宮からの不正出血だったということが多いです。
肉片のようなものを血尿と一緒に排泄することもあります。

病気としては、子宮内膜炎、子宮内膜過形成、子宮腺癌、子宮平滑筋腫などが報告されています。
また、卵巣の異常も同時に見つかることもあります。

血尿や元気の低下が見られた場合、レントゲン・超音波・血液検査をして病気を確認しますが、丸まってしまう子は麻酔をかけないと検査自体ができません。
また、癌の場合は他の臓器への転移の可能性もありますが、手術前に癌かどうかを診断することは困難です。

治療は、薬で行う場合もありますが、基本的には手術で子宮と卵巣を取り除きます。
癌の転移がなければ手術で完治が見込める病気ですが、発見時には病気が進行してしまっていて、手術が困難なケースもあります。

早期発見が難しい動物ですので、犬や猫、ウサギのように、予防的な避妊手術をしてしまうのも一つの選択肢です。


ハリネズミの脾臓腫瘍(脂肪肉腫)

高齢のハリネズミには腫瘍が多く発生します。

このハリネズミさんは、脾臓に脂肪肉腫という腫瘍ができていました。
これは脂肪細胞が脾臓で腫瘍化した、悪性腫瘍です。
治療は外科摘出になりますが、脾臓の悪性腫瘍は転移が認められる場合、予後が悪いことが多いです。腫瘍なので内科療法では治療が難しく、また抗がん剤はハリネズミでは確立されていません。

脾臓の腫瘍はお腹の中にあるものなので、特にハリネズミは発見が難しく、検査も麻酔をかける必要があることが多いです。

ハリネズミさんは見た目で病気や体調不良をしづらいため、普段から全身をよく触ってあげることが早期発見につながります。


ヨツユビハリネズミの疥癬(ダニ)

最近は減りつつありますが、ハリネズミの皮膚病の原因として多いのがこのダニの感染症です。

布団やカーペットにいるダニとは違う種類で、基本的にはハリネズミ同士の接触で感染します。
また、何らかの病気で免疫力が低下すると潜んでいたダニが活動を始め、発症する場合もあるので、要注意です。

症状は、フケとかゆみがメインになります。あまりに感染数が多ければ、肉眼でもフケの中に動いているダニを確認することができます。

診断は、拡大鏡や皮膚の掻爬検査で成体や卵を検出することで確定します。検査で見つからなくても否定しきれないので、他の治療に効果がない時には試験的にダニの治療を行うこともあります。

治療は、犬猫用のダニのスポット製剤を、2週間毎に計4回使って駆虫します。
反応が悪ければ注射薬を使用する場合もあります。


1

このページのトップへ