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動物別症例集 3ページ目

ヒョウモントカゲモドキの栓子詰まり

栓子とはクロアカルサック内に定期的に溜まる黄色くて硬い塊のことで、クロアカルサックの中にあるヘミペニスの垢に汚れや膿などが溜まって栓子が形成されるのではないかと考えられます。

栓子は通常、自力で排泄されますが、排泄の機会を失うと時間とともに水分を失い、クロアカルサックに張り付いて、糞尿の排泄が困難になり、放置してしまうと、より汚れや細菌が付着され、栓子の付着部位から二次的に感染や出血、壊死し悪化してしまいます。

対処法としては、患部の付着している栓子を優しく剥離し、膿や壊死したところを除去し消毒を行い、抗生剤を投与することで細菌の進行を防ぎ、飼育環境を衛生的に保つことで傷の修復を試みます。


モルモットの食滞

症状としては急に食欲がなくなりあまり動かなくなる、ウンチが出ない、冷たくなってるといった症状を示し、季節の変わり目、特に春と秋の気温が変動する時期の換毛期に多くみられます。

原因としては、千差万別であり、毛球だけでなく急激な気温の変化や台風など異常気象、食滞とはまた別の病気や体の異常によるストレスによっても、食滞を引き起こす原因となります。

重篤度においては症状によっては、治療するとすぐに回復する軽いものから数日の放置で亡くなることもある位重篤なものまで幅が広いため、早めの診察や治療をお勧めします。

消化管の状態により、輸液や消化管の機能を改善する薬や食欲増進剤の投与など行いますが、消化管が完全に詰まっている場合は、とても痛いので鎮痛剤の投与を行う場合があります。


モルモットの尿石症

尿石症の発生要因としては、カルシウムや、ビタミンDの含有量の高い食餌や、飲水量の不足、不衛生な環境における細菌感染などが考えられますが、遺伝的素因も大きく考えられます。

尿石による尿路閉鎖が起きてしまいますと、排尿時に痛くて鳴いたり血尿や頻尿がみられ、食欲不振になって腸内細菌叢のバランスも崩れて消化器疾患も併発することもあります。

治療は外科的に摘出することが主流とされています。内科的な治療としては抗生剤や鎮痛剤の投与が考えられますが、尿結石の自然排泄は確実性が乏しく、外科と内科、両方の処置をすることが望ましいとされています。


トゲオイグアナの皮下膿瘍

爬虫類の膿瘍の症状としてはドロドロの膿が患部に充満して炎症を起こすというより、膿がチーズ様の塊となって皮膚が破けてコブのように腫れてくることが多いです。

膿が固形で腫瘤のように存在している場合、抗生剤の内科治療だけではなくなることは少なく、基本的には外科的に摘出後、患部や飼育環境を清潔にし抗生剤の投与も行うことで再発を防ぎます。

今回のように皮膚が寄せられないような場所であれば膿瘍の摘出後、無理に皮膚を寄せて縫合しても癒合しない場合が多いので、あえて縫合はしないで感染を抑えながら自然に治癒するのを待つほうが主流とされています。


ツノガエルの感染性皮膚疾患

外傷、不衛生な環境、不適切な飼育、ストレス等が重なり、免疫力が低下することにより発生します。
発症当初は軽症でも、放置してしまうと、全身に紅斑や潰瘍、炎症が進行し、皮膚呼吸や浸透圧の調節が困難になり短期間のうちに、皮膚体腔膜穿孔が見られたり、敗血症を起こし命を落とすこともあります。

治療として、清潔で適した環境管理、消毒、抗生剤や抗真菌薬の投与や薬浴、穿孔が重度の場合は縫合も行いますが、全身状態が悪化した個体におきましては予後が悪いといわれております。

発症しないためにも、清潔で適した温度、湿度の環境管理、外傷の起きにくいレイアウトにすることや、過密飼育や過度なハンドリングを避けるなど、ストレスを最小限にすることを意識し、軽症でも迅速な環境改善や、早期治療を行うことによって悪化を防ぐことが重要となります。


ウズラの総排泄腔脱

鳥の総排泄腔脱は産卵後、卵管や排泄腔に傷や腫れが残ってしまい、次の産卵時、イキミが持続して起きてしまうことが一般的です。

また腫瘍などによる物理的圧迫により併発してなってしまうこともあります。

放っておくと排泄腔が腐ってしまい、過度な疼痛によるショック、壊死部からの細菌感染により、死に至るケースもあるため、早急に脱出した臓器を体腔内に戻す必要があります。
再脱出する際は、排泄腔を縫合し物理的に脱出を防止します。その際に抗炎症薬や抗菌薬で腫れや細菌感染をコントロールします。


ニシアフリカトカゲモドキの機能的卵閉塞

トカゲの雌性生殖器疾患である卵閉塞の主な症状としては食欲不振、腹部膨満であり、卵殻形成によるカルシウムの大量消費のため低カルシウム状態となり、卵管平滑筋の反応を低下させ難産を助長させたり、元気の消失や神経症状もみられる場合もあります。

治療法としては、水和状態や栄養性の問題を考慮し、補液やカルシウム剤の注射を行ったり、産卵を促すためオキシトシンなどのホルモン注射を行うこともあります。
生殖器自体に異常がみられたり、内科療法が無効であった場合は外科的処置も一つの手段として挙げられます。
また治療だけでなく、産卵床は適切か、環境ストレスはないか、などの飼育者の飼育環境の見直しが最も重要な改善の糸口となる場合もあります。


ヒョウモントカゲモドキの卵胞うっ滞

卵胞うっ滞を呈した場合、卵胞による体腔内の物理的占拠により、初期には消化管が圧迫され、食欲不振と腹部膨満からはじまり、続いて体重減少、元気消失、後躯不全麻痺などがが認められます。

内科療法としては、脱水を緩和するため皮下点滴を行い、低カルシウム血症を防ぐためカルシウム剤を注射を行います。それでも改善が見られない場合は、外科的に卵胞や卵巣の摘出を試みます。

本症例は外科的摘出後も予後は良好で、食欲が戻り体重も増え元気になりました。


ぶどう膜嚢胞・虹彩嚢胞(色素上皮嚢腫)

前房と呼ばれる部位に黒い嚢胞が浮かんでいることを色素上皮嚢腫といいます。腫瘍との鑑別が必要ですがこの嚢胞が前房内を上下左右自由に動くのが特徴です。嚢胞の摘出、除去するケースは稀ですが、嚢胞が角膜内皮に接触し、角膜浮腫が生じる場合や、嚢胞の個数が多く視界のじゃまをするようだと手術が必要な場合もあります。


犬の東洋眼虫

東洋眼虫は結膜の奥や涙管の中、瞬膜の裏側に寄生する体長5~18mmの小さな白色の線虫で、感染当初はほとんど無症状ですが、成虫になり動き回るようになると、目ヤニ、結膜炎、流涙、瞬膜の炎症などを起こします。治療法は点眼麻酔を行い、まぶたや瞬膜の裏側や奥をチェックし、直接虫体を摘出して治療します。再感染がなく、治療前に大きな角膜損傷が無ければ、一般的には予後が良いとされています。ただし、人獣共通感染症として人にも感染する可能性があるので注意が必要です。


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