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動物別症例集

ぶどう膜嚢胞・虹彩嚢胞(色素上皮嚢腫)

前房と呼ばれる部位に黒い嚢胞が浮かんでいることを色素上皮嚢腫といいます。腫瘍との鑑別が必要ですがこの嚢胞が前房内を上下左右自由に動くのが特徴です。嚢胞の摘出、除去するケースは稀ですが、嚢胞が角膜内皮に接触し、角膜浮腫が生じる場合や、嚢胞の個数が多く視界のじゃまをするようだと手術が必要な場合もあります。


犬の東洋眼虫

東洋眼虫は結膜の奥や涙管の中、瞬膜の裏側に寄生する体長5~18mmの小さな白色の線虫で、感染当初はほとんど無症状ですが、成虫になり動き回るようになると、目ヤニ、結膜炎、流涙、瞬膜の炎症などを起こします。治療法は点眼麻酔を行い、まぶたや瞬膜の裏側や奥をチェックし、直接虫体を摘出して治療します。再感染がなく、治療前に大きな角膜損傷が無ければ、一般的には予後が良いとされています。ただし、人獣共通感染症として人にも感染する可能性があるので注意が必要です。


犬の腸重積

腸管の中にそれに連なっている腸管の一部が反転してはまり込んで外と中に重なった状態となり、これによって腸管内の内容物が通過できなくなってしまうことを腸重積といいます。原因としては大腸炎による下痢、腫瘍、異物などがあり、症状は腹部の痛み、食欲不振、嘔吐、しぶりなどがあり、基本的には外科手術が適応となります。腸重積が重度になると腸閉塞になり生命に危険が及ぶので注意が必要です。


犬のマダニ寄生

マダニ予防をしていない状態でワンちゃんと一緒にハイキングやキャンプなどに行くと顔回りや胸部、おしり周りなどにマダニが寄生している可能性があります。

マダニに咬まれると、犬は皮膚炎や貧血、栄養障害などの病害を引き起こすのみならず、マダニに病原体の運び屋となって、場合によっては感染症により、命に関わる危険性もあります。

また動物に寄生したマダニは人にも移る場合があり、ペットからのマダニ媒介によりウィルス感染して死亡したという報告(SFTS:重症熱性血小板減少症候群)もありますのでしっかりとしたノミ、マダニ予防の徹底を行いましょう。

寄生したマダニは、セメントのような物質で固定しているため、引っ張ってもなかなか取れません。無理に取れば、口器だけ皮膚内に残り炎症や化膿などの原因となります。そのため、マダニを取り除くときは動物病院で口器を皮膚内に残さないように専用のピンセットによる除去や、薬剤を使用して取り除くことをお勧めします。


犬の胃捻転胃拡張症候群

胃捻転胃拡張症候群とは胃がねじれて拡張してしまう急性の病気のことを言います。最悪の場合、死に至ることもあります。原因としては食後の激しい運動・多量の食事を一気に食べる・遺伝的要因などがあり、一般的には胸の深い大型犬で起こりやすいですがどの犬種でも起こる可能性はあります。初期症状としては落ち着きがなくなる・お腹が張る・よだれ・吐く仕草などがあります。立てなくなったり、ショック症状がみられた場合は死亡率が高いので注意が必要です。治療は症状によって変わりますが、手術による捻転の修復と固定術が必要になる事が多いです。


犬の鼠径ヘルニア

鼠径ヘルニアは、両足の付け根(鼠径部)にある隙間から、お腹の中の内容物(臓器や脂肪など)が飛び出てしまった状態を言います。遺伝などの先天的に起こる場合と、事故などによる外傷などで後天的に起こる場合があります。ヘルニアが小さければ経過観察を行う場合もありますが、ヘルニア部分が拡大したり、臓器(腸や膀胱など)がヘルニア内に出ている場合は、後から腸閉塞や膀胱炎、腎不全などを併発する可能性が考えられるため、外科手術が必要となります。


犬の橈尺骨骨折

トイプードル、チワワ、ポメラニアンなどのトイ犬種といわれる小型犬やイタリアン・グレーハウンドなどの前肢は細いため衝撃に弱く、抱っこ中に落下して骨折するケースや、ソファから飛び降りて骨折してしまうケースが多いです。
特に前腕部を構成する橈骨と尺骨をまとめて骨折することを橈尺骨骨折とよびます。

骨折の程度にもよりますが、通常は体内にプレートを埋め込んで骨を固定する手術を行う必要があります。
ヒビ程度であればギプスなどの外固定でも治癒することがあります。

骨の癒合がレントゲン撮影で確認できたら、再度手術をしてプレートを摘出します。

ちょっとの不注意で二度も手術をするような大掛かりな事態になってしまいますので、高いところには登らない、高いところから飛び降りない、などのしつけを普段から行っておくことが重要です。


犬の潜在精巣

犬の精巣は、出生時には腹腔内にありますが、生後30日ほどで陰嚢内に下降してきます。
潜在精巣とは別名陰睾(いんこう)ともいい、精巣が片側または両側とも陰嚢内に下降せず、腹腔内または鼠径部に停留することをいいます。遺伝するため、繁殖に用いないことが重要です。

また、潜在精巣は正常な精巣と比べ約13倍も腫瘍化しやすいというデータがあります。精巣の腫瘍は悪性のものも報告されています。
精巣が腹腔内にある場合は開腹手術になってしまいますが、腫瘍化しないうちに早めの去勢手術をおすすめします。
当院では生後半年頃での去勢手術を推奨しています。ワクチン接種とあわせてご相談ください。


犬の門脈体循環シャント

門脈体循環シャントとは、腸や全身臓器から肝臓へと血液を送る血管である「門脈」と全身への体循環を担う大静脈との間に本来無い異常血管(シャント血管)ができることで様々な障害を引き起こす病気です。
先天性がほとんどですが重度の肝臓病があると後天的に発生することもあります。

症状は元気や食欲の低下・嘔吐・下痢などがあり、重症だと肝性脳症といわれる神経症状(けいれん発作、ふらつきなど)や、最悪の場合死に至ることもあります。
合併症として尿酸アンモニウム結晶による尿路結石などがあります。

診断には血液検査、レントゲン、エコー検査などが用いられ、CT検査が必要な場合もあります。

症状が軽度の場合は内服薬や食事療法で抑えられることもありますが、一般的には外科手術が主になります。セロハン結紮術やアメロイドコンストリクター設置術などで異常血管を結紮、閉塞します。


胆石症・胆嚢摘出

肝臓は体内で様々な働きをしています。その内の一つに、胆汁という消化液を作り出す機能があります。
肝臓で作られた胆汁は、胆嚢という器官に一時的に蓄えられた後、食事の刺激によって腸内に排出されます。

この胆汁が濃縮して泥状に変性した状態を胆泥、さらに石のように固まったものを胆石といいます。
人の胆石はコレステロールが主成分であることが多いですが、犬や猫ではビルルビンや炭酸カルシウムが多いことが知られています。
これらの異常は健康診断などで偶然発見される事が多く、すぐに症状を示すものではありません。

しかし、これらの異常により胆嚢や胆管(胆汁の通る管)、肝臓に炎症が起きた場合や、胆石が胆管に詰まってしまうことで重篤な症状を示すケースがあります。
症状としては、元気食欲の低下、嘔吐などが多く、重度の場合は黄疸が認められることもあります。

内科治療として、胆汁の分泌を促す利胆剤や抗生物質、専用の療法食で様子を見ることも多いですが、場合によっては緊急手術による胆石・胆嚢摘出が必要な場合もあります。

何もなく経過することも多いですが、重度の炎症や閉塞を起こすと命を落とす事もあるため、油断はできません。
定期的な健康診断で早期発見をする事も大切です。

写真1:猫の胆石症です。砂利上の胆石が白っぽく溜まって見えています。
写真2:犬の胆石症です。胆嚢内ではなく、肝臓内に胆石が確認されます。


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