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動物別症例集

フェレットの耳血腫

概要
耳介を擦過や振動のような傷害により、軟骨が骨折して出血がおこり血液が軟骨板内に貯留し血腫が形成される病気です。

原因
フェレットの場合はミミダニが寄生している場合が多く、基礎疾患として外耳炎があることが多いとされています。
それらが発端となり、かゆみが発生し、耳を掻いたり振ることで軟骨を損傷し耳血腫となります。

症状
頻繁に頭を振ったり、掻いたり、こすりつけたりなど耳を気にする仕草をしたり、耳が垂れていたり、腫れていたりしていることに飼い主さんが気づき来院される場合が多いです。

治療
基礎疾患の治療とともに耳のかゆみや不快感を取り除くためステロイド剤を短期間投与したり、その他の消炎剤も使用するケースもあります。
細菌感染のリスクがある場合は抗生物質の使用や、貯留液を減少・消失させるインターフェロンの注入療法なども内科治療として知られています。
外科的には切開して内容液を除去し、ドレーンなどを設置し、圧迫包帯を行ないますが、当院では傷痕が残りにくい内科療法を積極的に行っています。


フェレットの異物による腸閉塞

概要
フェレットの消化器疾患ではよく見られる疾患です。
異物の種類は年齢により違いがあり、2歳以下の子は布、スポンジ、ゴムなどをよく飲み込んでしまいますが、中~高齢の子では自身の毛の塊(毛球)を詰まらせてしまうことが多いです。

症状
重度の場合は嘔吐、流涎、下痢、体重減少等の症状がみられますが、初めの頃は元気消失、食欲不振などの非特異的症状で気付きにくいです。

診断
基本的には画像診断(レントゲン、造影レントゲン、エコー検査)によって診断しますが、最終的に試験的な開腹手術で確定することもあります。

治療
開腹手術を行い、胃や腸を切開して異物を摘出します。


皮膚糸状菌症

皮膚糸状菌症とは、皮膚糸状菌という真菌(カビ)による皮膚炎を指します。犬猫だけでなく、ウサギ、ハムスター、モルモット、チンチラ、フェレット、デグー、ハリネズミなど多くの動物に感染します。

子供や高齢、また何らかの病気により免疫力が低下している動物に主に認められます。
頭部や手足から全身に広がるケースが多いです。
また、円形の脱毛が認められることが多いですが、見た目で診断はできません。かゆみがある場合もない場合もあります。

診断は、抜毛検査による糸状菌の検出や、培養検査、ウッド灯と呼ばれる特殊なライトを用いた検査によって糸状菌を検出します。
検出されない場合でも、通常の治療に反応がない場合は試験的な治療が功を奏する場合もあります。

治療は、抗真菌薬の内服薬や軟膏、薬用シャンプーによる薬浴などがあります。治療は長期間にわたる可能性もあり、自己判断で中止しないことが重要です。

また、皮膚糸状菌症は人獣共通感染症(ズーノーシス)の一種であり、人にも感染します。人間ではリングワームと呼ばれる円形の赤い湿疹が特徴的です。
皮膚病の子がお家にいる方で、上記の症状が出た場合は特にこの病気を疑います。飼い主さんは、皮膚科の受診をお勧めします。


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