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動物別症例集

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ハムスターの体表腫瘍(皮弁形成術)

額から右まぶたにかかるように、悪性腫瘍ができてしまいました。

ハムスターには腫瘍が多く認められます。
中でも頭部に出来やすい腫瘍としては、扁平上皮癌・粘液腫・粘液肉腫などが多いとされます。

このハムスターさんは、頭部に肉腫(悪性腫瘍の一つ)が認められました。
この種の腫瘍はどんどん大きく広がっていくため、外科的な切除が第一に選択されます。

この子の場合は、腫瘍の一部が右の上まぶたに乗っかっていました。腫瘍を切除すると上まぶたも切除することになるため、術後右目の障害が起きることが懸念されました。
右目のできる限りの温存も考えましたが、腫瘍の完全切除を目指し、また術後の本人の不快感を最小限にするために、右眼の摘出も同時に行うことにしました。
また、皮膚があまり余っていない部分なので、皮膚が縫い合わせられないことも懸念されましたが、右頬から眼窩(眼球のおさまっていた部分)をまたいで皮膚をひっぱってくる(皮弁形成)ことで、問題を解消しました。

このハムスターさんは術後すぐにご飯を食べるほど経過もよく、特に生活上の支障は起きてないとのことです。

腫瘍の手術の場合は、今回のように苦渋の選択で正常な部位も犠牲にせざるを得ない場合もあります。手術の結果、起きうる可能性のある合併症や障害の程度を考え、何がその子にとってベストなのか、飼い主さんと獣医師がよく話し合う必要があります。

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