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動物別症例集 9ページ目

猫の慢性腎臓病

高齢の猫ではほとんどの子が抱える、非常に一般的な疾患です。

初期には多飲多尿や体重減少といった症状がみられ、進行していくと食欲不振や嘔吐、活動性の低下などが見られるようになります。
検査によって脱水や高血圧、貧血といった異常も出てきます。
無治療で放っておくと、最終的に尿が全く作られなくなり、死に至る病気ですが、早期に適切な治療を始めることで、寿命も生活の質(QOL)も改善させることができます。

腎臓は主に尿を作る臓器ですが、その他にも様々な働きをしています。
非常に大切な臓器なので、腎臓はもともと予備能が高く、機能が75%以上失われなければ血液検査に異常が現れません。明らかな体調不良が起きるのはさらに病気が進んだ状態です。このため、発見が遅れてしまうことも珍しくありません。

検査は主に血液検査・尿検査・血圧検査・レントゲン・超音波検査などがあります。
特に尿検査は、簡単ですが一番早くに腎臓病を検出できる検査なので、特に重要です。

治療は腎臓病のステージや病態によって異なってきます。
大まかに、初期では腎臓のダメージを減らすための内服薬や療法食。
進行してくると、脱水を改善するための定期的な皮下点滴や、入院による点滴が必要になってきます。
その他、症状に合わせて制吐剤や造血剤などのお薬を使います。

慢性腎臓病は治る病気ではありませんが、治療により目に見えて元気になる子も多いです。
より良い老後を送ってもらえるよう、猫の腎臓は常に意識してあげて下さい。


子宮蓄膿症

子宮蓄膿症とは、子宮が細菌感染を起こし、内部に膿がたまる病気です。

中年齢以上の犬に特に多く、猫・ウサギなどでもみられます。
(犬ではメスの2/3がなると言われています)

症状としては「元気・食欲の低下」「水をよく飲む」といったものが多く、急にぐったりして来院されるというケースも珍しくありません。
陰部から膿状のオリモノが排泄されるタイプもありますが、排泄されないタイプもあるので、それだけで判別はできません。

最悪の場合子宮が破裂してしまったり、細菌や毒素が全身に回って死に至ります。

治療は、緊急手術で膿の溜まった子宮を取り除くことになります。
手術が上手くいけば完治する病気ですが、何らかの症状を示している場合は麻酔のリスクが高くなります。

このため、発症前の健康な時に、予防的な避妊手術が勧められます。
避妊手術は、早期に行うことで乳腺腫瘍の予防にもなります。若いうちは麻酔のリスクも少ないなので、積極的な手術をぜひご検討ください。


フクロモモンガの自咬症

フクロモモンガは本来、群れで生活をしています。しかし飼育下では単体飼育になることが多く、そのストレスが原因で自分の尾やペニスなどを咬んで傷つけてしまうことがあります。

損傷部位の治療には、感染予防のための抗生物質の投与や、エリザベスカラーの装着をおこないますが、多くの場合麻酔下での処置が必要となります。また、原因を除去しなければ根本的な治療にならないので注意が必要です。

*雄では去勢手術が有効な場合もあります。


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