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動物別症例集 4ページ目

犬の腸重積

腸管の中にそれに連なっている腸管の一部が反転してはまり込んで外と中に重なった状態となり、これによって腸管内の内容物が通過できなくなってしまうことを腸重積といいます。原因としては大腸炎による下痢、腫瘍、異物などがあり、症状は腹部の痛み、食欲不振、嘔吐、しぶりなどがあり、基本的には外科手術が適応となります。腸重積が重度になると腸閉塞になり生命に危険が及ぶので注意が必要です。


犬のマダニ寄生

マダニ予防をしていない状態でワンちゃんと一緒にハイキングやキャンプなどに行くと顔回りや胸部、おしり周りなどにマダニが寄生している可能性があります。

マダニに咬まれると、犬は皮膚炎や貧血、栄養障害などの病害を引き起こすのみならず、マダニに病原体の運び屋となって、場合によっては感染症により、命に関わる危険性もあります。

また動物に寄生したマダニは人にも移る場合があり、ペットからのマダニ媒介によりウィルス感染して死亡したという報告(SFTS:重症熱性血小板減少症候群)もありますのでしっかりとしたノミ、マダニ予防の徹底を行いましょう。

寄生したマダニは、セメントのような物質で固定しているため、引っ張ってもなかなか取れません。無理に取れば、口器だけ皮膚内に残り炎症や化膿などの原因となります。そのため、マダニを取り除くときは動物病院で口器を皮膚内に残さないように専用のピンセットによる除去や、薬剤を使用して取り除くことをお勧めします。


犬の胃捻転胃拡張症候群

胃捻転胃拡張症候群とは胃がねじれて拡張してしまう急性の病気のことを言います。最悪の場合、死に至ることもあります。原因としては食後の激しい運動・多量の食事を一気に食べる・遺伝的要因などがあり、一般的には胸の深い大型犬で起こりやすいですがどの犬種でも起こる可能性はあります。初期症状としては落ち着きがなくなる・お腹が張る・よだれ・吐く仕草などがあります。立てなくなったり、ショック症状がみられた場合は死亡率が高いので注意が必要です。治療は症状によって変わりますが、手術による捻転の修復と固定術が必要になる事が多いです。


犬の鼠径ヘルニア

鼠径ヘルニアは、両足の付け根(鼠径部)にある隙間から、お腹の中の内容物(臓器や脂肪など)が飛び出てしまった状態を言います。遺伝などの先天的に起こる場合と、事故などによる外傷などで後天的に起こる場合があります。ヘルニアが小さければ経過観察を行う場合もありますが、ヘルニア部分が拡大したり、臓器(腸や膀胱など)がヘルニア内に出ている場合は、後から腸閉塞や膀胱炎、腎不全などを併発する可能性が考えられるため、外科手術が必要となります。


フェレットの耳血腫

概要
耳介を擦過や振動のような傷害により、軟骨が骨折して出血がおこり血液が軟骨板内に貯留し血腫が形成される病気です。

原因
フェレットの場合はミミダニが寄生している場合が多く、基礎疾患として外耳炎があることが多いとされています。
それらが発端となり、かゆみが発生し、耳を掻いたり振ることで軟骨を損傷し耳血腫となります。

症状
頻繁に頭を振ったり、掻いたり、こすりつけたりなど耳を気にする仕草をしたり、耳が垂れていたり、腫れていたりしていることに飼い主さんが気づき来院される場合が多いです。

治療
基礎疾患の治療とともに耳のかゆみや不快感を取り除くためステロイド剤を短期間投与したり、その他の消炎剤も使用するケースもあります。
細菌感染のリスクがある場合は抗生物質の使用や、貯留液を減少・消失させるインターフェロンの注入療法なども内科治療として知られています。
外科的には切開して内容液を除去し、ドレーンなどを設置し、圧迫包帯を行ないますが、当院では傷痕が残りにくい内科療法を積極的に行っています。


爬虫類両生類の代謝性骨疾患(MBD)

概要
主に爬虫類や両生類にみられる病気で、偏食のフクロモモンガでみられることもあります。
くる病や骨軟化症という骨疾患を引き起こすこともあります。

原因
低カルシウム血症が原因とされ、栄養不均衡(低カルシウム、高リン、ビタミンD不足)や、紫外線が必要な種では照射不足により起こります。

症状
成長不良や食欲不振、骨の菲薄化などが主な症状です。重度になるとけいれんを起こしたり、骨格が変形したりします。カメの場合は甲羅の変形やクチバシの過長がみられます。

治療
まずは飼育環境の見直しが必要で、症状に応じてカルシウムの注射や内服薬が必要な場合があります。


フェレットの異物による腸閉塞

概要
フェレットの消化器疾患ではよく見られる疾患です。
異物の種類は年齢により違いがあり、2歳以下の子は布、スポンジ、ゴムなどをよく飲み込んでしまいますが、中~高齢の子では自身の毛の塊(毛球)を詰まらせてしまうことが多いです。

症状
重度の場合は嘔吐、流涎、下痢、体重減少等の症状がみられますが、初めの頃は元気消失、食欲不振などの非特異的症状で気付きにくいです。

診断
基本的には画像診断(レントゲン、造影レントゲン、エコー検査)によって診断しますが、最終的に試験的な開腹手術で確定することもあります。

治療
開腹手術を行い、胃や腸を切開して異物を摘出します。


ハムスターの直腸脱

概要
過度にお腹に力が入ったときに直腸が肛門から飛び出してしまった状態になり、これを直腸脱とよびます。
ハムスターは直腸脱を起こしやすい動物として知られています。

原因
ひどい下痢や便秘、加齢などが原因となって起こります。
下痢にはウェットテイルと呼ばれる腸疾患や寄生虫が関わっていたり、便秘には腎不全や水分摂取不足などが関与していることがあります。

症状
飛び出してしまった腸は、うっ血や感染を起こしてしまいます。
ひどいときは腸が壊死してしまったり全身に感染がまわって、命にかかわることも多いです。

治療
なるべく早くに肛門内に戻します。
再脱出することも非常に多いので縫合糸で肛門を狭めるような処置も行います。
また、原因となるような疾患の治療も同時進行で行います。


ウサギのトレポネーマ症

概要
トレポネーマという糸状・らせん状の菌に感染することで起こる皮膚炎です。
ヒトの梅毒症と原因菌や症状が似ているため、ウサギ梅毒と呼ばれることもあります。
ヒトに感染することはありませんが、ウサギ間では交尾によって感染を広めていきます。
また、母ウサギから子ウサギへの接触でも感染することがあります。

症状
トレポネーマに感染後、ストレスや体調悪化などが引き金となり発症します。
発症すると陰部と口・鼻の周囲にかさぶた、潰瘍、水ぶくれなどを形成します。
くしゃみや鼻水がみられることもあります。
また、感染していても症状が出ないこともあり、他のウサギへの感染源になってしまうことがあるので注意が必要です。

治療法
抗生物質の投与により症状の改善が見られますが、完治することはなく、また何らかのきっかけで発症をくりかえしてしまいます。
一度発症してしまったウサギさんは残念ですが繁殖に供さないことが、病気の蔓延防止に有効とされています。


ボールパイソンの水疱病

概要
ヘビ類に多く見られる皮膚病で、水疱症、小疱性皮膚炎、壊死性皮膚炎、スケールロットなど、様々な名称があります。

原因
皮膚に細菌感染が成立すると発症します。
ケージ内の多湿や換気不足、不衛生、ストレスなどの環境要因と、ダニや寄生虫感染、免疫低下などの内的要因が関係することがあります。

症状
主に腹部の皮膚が赤くなったり、水ぶくれを形成し、それがはじけて潰瘍になったりします。
重度になると敗血症を引き起こし、命にかかわることもあります。

治療法
患部の消毒と抗生物質の投与がメインの治療法になります。
症状に応じて外用薬(塗り薬)を処方することもあります。
また、飼育環境の見直しも非常に重要です。


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